法規制の概要

貸金の利息に関する規制を定める法律には、「利息制限法」、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」(以下「出資法」という)及び「貸金業法」がある。
任意整理を行う際に第1によって立つべき法律は「利息制限法」である。
同法所定の利率を超える利息・損害金は無効であり(利息1条・4条1項)、制限超過分については、それがたとえ債務者が任意に支払ったものであったとしても、当然に残元本に充当される。
また、制限超過部分の元本充当により計算上元本が完済となったときは、債務者がその後支払った金額については、不当利得として返還を請求することができる。
引き直し計算や過払金返還請求などは、すべてこの法律に基づいて行われる。
一方、利息に関する法規制としては、別に「出資法」がある。
出資法所定の利率を超える金利で契約をした場合には刑罰が科される。
平成18年の法改正以前においては、出資法による金利を下回り、かつ、利息制限法の利率を上回る範囲の金利は、民事上無効とされるにもかかわらず、刑事上は罰せられない部分として、いわゆる「グレーゾーン金利」と呼ばれていた。
しかし、平成18年改正法により、利息に関しては出資法の上限金利は年利20パーセントとされ(出資5条2項)、「みなし弁済」の規定(旧貸金43条1項)も廃止されることから(いずれも平成22年6月19日までに施行)、施行後は「グレ-ゾーン」金利の問題は解消されることになる。
大手金融業者には、以上の法改正に伴い、既に貸出金利を利息制限法の制限利息内に引き下げた業者も多く見られる。

利息制限法による規制

利息制限法による制限利率

(ア)金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約は、その利息が下記の利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分について無効である「平成18年改正前利息制限法1条1項。平成18年改正施行後は同1条)。
・元本10万円未満の場合 年20パーセント
・元本10万円以上100万円未満の場合 年18パーセント
・元本100万円以上の場合 年15パーセント

(イ)損害金については、上記の利率の1.46倍を超えるときは無効とされる(利息4条1項)。
具体的には下記の利率となる(ただし、同利率は平成12年6月1日に施行された改正利息制限法によって定められたものであり、同日以前になされた貸付けについては旧法の定め(通常利息の2倍)が適用される)。
・元本10万円未満の場合 年29.2パーセント
・元本10万円以上100万円未満の場合 年26.28パーセント
・元本100万円以上の場合 年21.9パーセント
なお、平成18年改正による利息制限法7条の施行(平成22年6月19日までに施行)により、営業的金銭消費貸借(債権者が業として行う金銭を目的とする消費貸借)における損害金については、元本に対する割合が年2割を超えるときはその超過部分について無効とされる。

違法金利の貸金業者と戦うには|債務整理ドットコム

債務整理ドットコム[http://hensai-soudan.jp/]なら、ヤミ金と戦ってくれる弁護士・司法書士も探せます。
借金に関する相談は24時間365日受付中。
弁護士・司法書士に債務整理を依頼すれば、即日、借金返済の催促がストップします。

利息制限法に違反した利息・損害金の効力

(ア)利息制限法に定める利率を超えた利息・損害金は無効であり、制限超過部分は当然に元本に充当され、充当の結果元本が完済となった場合は、その後に支払った金額は不当利得として返還を請求することができる。
(イ)制限利率を超える利息部分を目的とする準消費貸借契約も無効である。
(ウ)ただし、平成18年改正法施行前の貸金業法下におげる貸付げについては、極めて例外的に、利息制限法の制限利率を超えた利息の支払が、有効な利息の弁済とみなされる場合がある(旧貸金業法43条のいわゆる「みなし弁済」)。

利息制限法が適用される契約

利息制限法はすべての「金銭を目的とする消費貸借」に適用される(利息1条・4条1項。よって、銀行、消費者金融による貸付けにとどまらず、信販会社、商工ロ―ン、質屋その他により行われるすべての貸付けについて利息制限法の適用がある。
具体的取引が上記「金銭を目的とする消費貸借」に当たるかは、その取引実態を踏まえて判断する必要があるが、特に以下の各契約においては、その適用の有無が問題となる。
もっとも任意整理手続は、債権者との任意の交渉において弁済方法を決定できることにメリットがあり、当然弁済総額も任意の交渉によって決定することができる。
よって、債務者の早期の更生を図るため、過去の取引における利息等に関する利率については、利息制限法の適用の有無が必ずしも明らかでない事案であって乱債務者代理人として積極的に利息制限法による制限利率に基づく返済案の提示を行い、債権者の同意を得るよう努力すべきである。
(a)クレジット契約
クレジット契約については、債務者とクレジット会社との間の契約は立替払委託契約であり、分割手数料には立替金に対する金利のみならず立替払委託に対する報酬や信用調査に伴う費用等を含むといった理由から、利息制限法の適用を否定する裁判例が多く見られる。
しかしながら、任意整理においては、債務者の早期更生の観点や弁済の確実な履行の観点及び債権者間の公平などの理由から、手数料を控除した商品代金を基礎に利息制限法による制限利率に基づいて残債額を計算したうえで、同残債額を弁済総額とすることで債権者の同意を得るよう努めるべきである。
分割手数料に金利以外の費用等を含む観点があるとしても、将来金利相当分については支払総額から控除すべきであるとの裁判例もあるので参考にされたい。
なお、利息制限法による規制の話から若干離れるが、平成7年8月9日、通商産業省(当時)は、社団法人日本クレジット協会会長宛に、クレジットの分割手数料は出資法の制限利率年40.004パーセント(当時。平成21年5月1日現在は年29.2パーセント)を超えないよう要請する旨の通達を出している。
よって、少なくとも出資法の制限利率を超える分割手数料の適法性については疑義があるものといえる。
また、割賦購入あっせんにおいて分割金の支払がなされない場合の違約金につき、割賦販売法30条の3第2項は、支払総額から既払金を控除した金額に対する法定利率による遅延損害金を加算した金額を超えてはならないと規定する。よって、これを超える約定は無効である。
(b)リース契約
リース契約については、その態様は様々な形態があるが、単なる消費貸借契約にとどまらず、賃貸借契約の側面も有することなどを理由として、利息制限法の適用を否定した裁判例が多く見られる。
一方、その実質が貸金債権の更改であるとして、利息制限法の適用を認めた裁判例も存在する。
任意整理においては、契約の実態に着目しつつも、できる限り利息制限法の適用を行えるよう、当該リース契約の消費貸借的側面を積極的に主張し、債権者の同意を得るよう努力するべきである。
(C)手形割引
手形割引について利息制限法の適用を認めるか否かについては、手形割引の法的性質をいかに評価するかによって、別の結論があり得る。
手形の交付が貸金の担保又は貸金の支払のためと判断されると適用があるとの結論になる。一方、手形売買と判断されると適用は否定される。
任意整理においては、当該手形割引の実態に着目しつつも、原則として利息制限法を適用する方向で契約内容を分析し、債権者の同意を得るよう努力すべきである。

適用すべき利率の判断

利息制限法は、元本の金額に応じて利息・遅延損害金の上限を定めるが、具体的な事案においてどの利率を適用すべきか問題となることがある。
(a)リボルビング契約の場合
貸金業者が、利息等の貸付条件につき、個別契約ごとにではなく、包括契約を締結して条件を定め、追加の貸付けについては従前の貸付残高に合算して処理しているような場合(一般に「リボルビング契約」といわれる)には、個別の貸付けごとに同貸付額を元本とする制限利率を適用するのではなく、貸付残高全体の金額に従って制限利率を適用する扱いがなされてきた。
さらに、一歩進んで、利用限度額をもって制限利率を定めるべきとの裁判例が現れており、今後は同裁判例に基づいて制限利率の主張も検討すべきである。
(b)複数の個別契約がある場合
(a)と異なり、各個別契約ごとに利息等の貸付条件を定め、貸付けを行う場合は、各貸付けごとの元本額に基づき制限利率が適用されるのが原則である。
しかし、10万円未満の貸付げが多数存在する場合で、その合計が10万円以上になるときには、各貸付けが一連の取引であるとして、合計額をもとにした制限利率を適用した裁判例が多数存在する。
よって、債権者に対して複数の借入れが存在する事案において任意整理を行うにあたっては、債権者に対して「一連」の主張を行う必要がある。
債権者において本来1口の貸付けであるにもかかわらず、低い利率の適用を免れるためにあえて2口に分けるなどの形式をとっている場合はいうまでもない。
なお、平成18年改正による利息制限法5条(平成22年6月19日までに施行)では、営業的金銭消費貸借(債権者が業として行う金銭を目的とする消費貸借)を既存の営業的金銭消費貸借に重ねて、もしくは同時に2つ行うときは、元本額を合計して制限利率を適用するものとされている。
(c)天引き・弁済がなされた場合
100万円の貸付げにあたり利息が天引きされて受領額が100万円以下となった場合であっても、利息制限法上の制限利率の判断における元本額は100万円であり、利率は年15パーセントである。
また、当初借入れが10万円以上100万円未満であったが、後の返済によって残元本が10万円以下となったとしても上限利率は年18パーセントのままである。
もっとも、利息制限法による制限内の天引利息額を算定するにあたり、いかなる制限利率を使用するかについて、受領額を基準とするとの考え方がある(利息制限法2条は「受領額」を元本として計算する旨規定している)。
しかしながら、任意整理においては、弁済総額については債権者との自由な協議で定めることが可能であることから、債務者代理人としては、天引利息に関しても、天引き前の契約額に基づいた利率をもとに引き直し計算を行い、債権者の同意を得るよう努力すべきである。「みなし利息」が天引きされる場合も同様である。
(d)重利の予約がある場合
年数回の利息の組入れを約する重利の予約は、毎期における組入れ利息とこれに対する利息との合算額が、本来の元本に対する関係において1年につき制限利率以内でなければならず、これを超える部分は無効である。
(e)遅延損害金の特約がない場合
遅延損害金についての特約がない場合に、利息の約定が利息制限法1条の制限利率を超えるときは、遅延損害金の利率は同条により制限された利率による。

「みなし利息」に関する問題

(a)原則論
利息制限法3条において、「金銭を目的とする消費貸借に関し債権者の受ける元本以外の金銭は、礼金、割引金、手数料、調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず、利息とみなす」とされ、「契約の締結及び債務の弁済の費用」(同条但書)以外はすべて「利息」とみなされる。
任意整理を行うにあたっては、かかる「みなし利息」の有無について乱債務者本人から十分に事情を聴取するなどして、債権者に対して積極的に主張すべきである。
(b)立証責任
「契約の締結及び債務の弁済の費用」(同条但書)であることの立証責任は貸金業者側にあり、仮に費用名目で金銭が交付されていたとしても、それが現実に費用として支出されなかったときは利息の天引きがなされたものとみなされる(現実に費用として支出されたことの立証責任も貸金業者側にある。)。
(c)保証料の問題
貸金業者がその100パーセント子会社である保証会社のために取得していた保証料及び事務手数料について、みなし利息に当たるとする裁判例がある。
よって、貸金業者が100パーセント子会社である保証会社の保証料及び事務手数料名目の金員を取得している場合には、同判例の要件を検討のうえ、みなし利息の主張を行うべきである。
また、貸金業者と保証会社との間に資本関係がない場合についても、保証料は貸金業者のリスク管理のために借主が負担する金員であって、「契約の締結及び債務の弁済の費用」に当たらないことから、任意整理における債権者との交渉においては、利息とみなされる旨主張すべきである。
また、高額な保証料を公序良俗違反として無効とした裁判例もある。
(d)特殊な事例
金融業者が借主に指示して紹介者に支払わせた金員が利息とみなされた例がある。
(e)営業的金銭消費貸借の特例
(ア)平成18年改正による利息制限法6条の施行(平成22年6月19日までに施行)後は、営業的金銭消費貸借にあっては、みなし利息の適用を受けない費用は、以下のものに限定される。
① 公租公課の支払に充てられるべきもの
② 強制執行の費用、担保権の実行としての競売の手続の費用その他公の機関が行う手続に関してその機関に支払うべきもの
③ 債務者が金銭の受領又は弁済のために利用する現金自動支払機その他の機械の利用料(政令で定める額の範囲内のものに限る)
④ カードの再発行の手数料その他の債務者の要請により債権者が行う事務の費用として政令で定めるもの
(イ)営業的金銭消費貸借を主債務とする保証における保証料については、平成18年改正による利息制限法8条の施行(平成22年6月19日までに施行)後は、以下の制限を受ける。
まず、主たる債務者が保証料を支払うときは、主たる債務の利息と合算して金利制限の対象とされることとなった(利息8条1項)。
利率が契約後に変動する変動利率の場合は、債権者と保証人との間で利率の上限の合意があり、かつ、それが主たる債務者に通知されているときは、同上限の利率により計算した利息額と保証料の額を合算したものが金利制限の対象となる。上記要件を満たさない変動利率の場合は、利息制限法所定の上限金利で計算した利息の2分の1を超えたとき、保証料は無効となる(同条2項)。
なお、保証契約に関して保証人が主たる債務者から受領する金銭は、利息制限法6条と同様の規制がある(利息8条7項)。

このページの先頭へ